病室に戻ってすぐに、菊川先生と内田さんが美乃の様子を見に来た。
熱が下がったとは言え、室内はどこか緊迫した空気に包まれている。


「……うん」


先生は真剣な表情で診察をしたあと、彼女に優しく微笑みながら頷いた。


「やっと落ち着いたみたいだね。明日も平熱なら、外泊の許可を出すから」

「本当に……?」

「うん。だから、このまま維持できるように頑張ってね」

「はいっ‼」


菊川先生の言葉を聞いた美乃は、大はしゃぎしていた。
その姿はまるで、小さな子どもみたいだった。


俺ももちろん嬉しくて、久しぶりに心が弾んだ。
もしかしたら、彼女よりも俺の方が喜んでいたのかもしれない。


明日も平熱なら、美乃は外泊ができるんだ!


ただただ嬉しくて、自然と口元が緩んだ。
たとえ締まりのない顔だと思われても、気にならなかった。


「やったな」

「うんっ‼ 本当に嬉しい!」

「でも、油断はできないからな?」

「わかってるよ。いっちゃんより、私の方が体調のことは理解してるもん。でも、ワクワクしちゃう」

「ああ、そうだな。俺も、楽しみだ」


美乃も自然と笑顔が零れてしまうらしく、俺たちはずっとニヤけていた。
もし彼女が外泊できれば、俺たちにとって最高のクリスマスプレゼントになる。


「今日は早く寝なきゃ!」

「ああ、そうだな!」

「とにかく体を冷やさないように温かくして……。あ、そうだ! 靴下、モコモコのやつに履き替える!」


俺も美乃も、明日が待ち切れなかった――。