その日から毎日、俺と美乃は菊川先生に『外泊許可が欲しい』と頼み込んだ。
だけど、予想通り菊川先生の返事は、いつも『ダメ』の一点張りだった。
その理由はよくわかっていたからやり切れない気持ちになって、毎日毎日重い気持ちで病院に行った。
事情を知った信二や広瀬、美乃の両親も最初は反対していたけれど、美乃の意思の強さに負けて一緒に先生に頼んでくれるようになった。
ただ誰が頼んでも、菊川先生はやっぱり困った顔をしながら首を横に振るだけだった。
美乃の体調も相変わらずで、危険な状態ではなかったけれど、熱はなかなか下がらなかった。
それでも、最近はようやく微熱になって、顔色も少しずつよくなってきている。
俺は、少しの嬉しさと油断できない状況にいつも振り回され、気が付けばクリスマスが来週に迫っていた。
「とうとうクリスマスだね……」
外出許可がもらえないままの美乃は、悲しそうに呟いた。
「うん、そうだね。雪降るかな?」
「うん……」
「クリスマスは兄ちゃんたちもここに来るから、みんなでパーティーしような!」
「うん……」
「そうだ! 信二ったら今朝寝坊して、大事な書類忘れちゃったのよ! おかげで私が届ける羽目になったの!」
広瀬と信二が必死に話し掛けても、美乃は窓の外を見ながらどこか上の空で頷くだけだった。
ふたりは、困ったような顔をしながら俺を見た。
少し前から一緒に暮らし始めて入籍も済ませたふたりは、毎日病院に足を運んでいた。
信二は前からだけれど、広瀬は結婚してから病院に来ることが日課になった。
理由はたぶん、美乃があまり笑わなくなってしまったからだろう。
以前はよく笑っていただけに、彼女にまったく笑顔がないのは誰もが心配に思っていた。
だけど、予想通り菊川先生の返事は、いつも『ダメ』の一点張りだった。
その理由はよくわかっていたからやり切れない気持ちになって、毎日毎日重い気持ちで病院に行った。
事情を知った信二や広瀬、美乃の両親も最初は反対していたけれど、美乃の意思の強さに負けて一緒に先生に頼んでくれるようになった。
ただ誰が頼んでも、菊川先生はやっぱり困った顔をしながら首を横に振るだけだった。
美乃の体調も相変わらずで、危険な状態ではなかったけれど、熱はなかなか下がらなかった。
それでも、最近はようやく微熱になって、顔色も少しずつよくなってきている。
俺は、少しの嬉しさと油断できない状況にいつも振り回され、気が付けばクリスマスが来週に迫っていた。
「とうとうクリスマスだね……」
外出許可がもらえないままの美乃は、悲しそうに呟いた。
「うん、そうだね。雪降るかな?」
「うん……」
「クリスマスは兄ちゃんたちもここに来るから、みんなでパーティーしような!」
「うん……」
「そうだ! 信二ったら今朝寝坊して、大事な書類忘れちゃったのよ! おかげで私が届ける羽目になったの!」
広瀬と信二が必死に話し掛けても、美乃は窓の外を見ながらどこか上の空で頷くだけだった。
ふたりは、困ったような顔をしながら俺を見た。
少し前から一緒に暮らし始めて入籍も済ませたふたりは、毎日病院に足を運んでいた。
信二は前からだけれど、広瀬は結婚してから病院に来ることが日課になった。
理由はたぶん、美乃があまり笑わなくなってしまったからだろう。
以前はよく笑っていただけに、彼女にまったく笑顔がないのは誰もが心配に思っていた。