「あのね、本当はやりたいこといっぱいあるの。


走り…、県大会だって出たかった。短距離の選手になるの夢だったから…。


けれど、お医者さんがだめって言うから…
だから諦めたんだ。


その時だったかな??
あたしはもう何も出来ないんだ、って思ったの。


だからあたしは、大切なものを手放していったんだ…。」



前田は、こんな大きなことをちっちゃい体で抱えていたのだろうか。



『辛かったんだな。』



これしかいってやれない自分がもどかしい。