あたしは夢中になって走っていた。


周りから歓声があがっているみたいだけど、そんなのあたしの耳には入らない。


あたしは、ただただ手と足だけを動かして走る喜びを感じていたんだ。


あたしはとても幸せだった。



「笑!!」


隼人が手を差し出している。


もうあたしの出番はおしまい。


名残惜しいけど、あたしは隼人にバトンを渡した。


後ろをみると半周ぐらい差がついていた。