あれから、全然走ってないや。
昔を振り返りながら瞼に浮かぶのは、一睡も保たないほどの小さな夢。
…走りたい。
走って、風を感じたい。
本当は走っちゃだめなんだけど…。
今日ぐらいいいよね??
あたしの頭の中では、走ってはいけない気持ちよりも、走りたい気持ちの方が勝っていた。
『…ねぇねぇ、君たち。あたしも仲間に入れてくれない??』
「え??」
ほぼ考えなしに、男の子たち2人に声をかける。
声が裏がえったように、目をまん丸に広げる子供たち。
その内1人は、失礼なことに、あたしを怯えたような目で見ている。
…まぁ、そりゃそうだよね。
誰だって、突然声をかけられたら、やっぱり不審に思うし、
何より、金髪のお姉さんに「遊びに入れて」なんて言われたら、戸惑っちゃうよね。