『随分、多人数で来たなー…で、どうした。何か事件か?』
五人で押し掛けた私達を見て、近藤さんは満面の笑みでそう問い掛けた。
『まあ、事件っちゃー事件かな。』
藤堂さんが腕を組み、近藤さんの質問に数回頷く。
『何!?…事件が起きたかの様には見えないが。』
事件と言う割りには随分落ち着いている私達を見て、近藤さんは眉を寄せた。
『平助、近藤さんをからかうんじゃねェよ。悪いな近藤さん…実は、美穂ちゃんが剣術を習いたいって言い出してな?』
永倉さんが、丁寧に事の経緯を説明してくれる。
『確かに何時敵に襲われるか分かんねェ生活してる以上、自分の身を守る位の剣術は心得ていた方が良いんじゃねェかって思ってよ。…で、近藤さんの許可を得に来たって訳。』
永倉さんが一通り話終えると、近藤さんは唸りながら腕を組んだ。
『女の子に剣…しかしそれは、危険ではないか?』
『大丈夫ですよ、手取り足取り…俺が教えますんで。』
『そ、総司が?』
『はい、美穂ちゃん直々の御指名なんで。』
刹那、近藤さんの表情が強張ったまま動かなくなった。
『あ、あのー…』
私も一応当事者な訳だし、少しくらい話をしようとほんの少し前へ出て固まった侭の近藤さんと向き合う。
『やっぱり、少しくらい身に付けておかないと…何かあった時に私も不安なので。あ、運動には少し自信があるんですよ、こう見えて。』
私の言葉に、漸く近藤さんの表情が緩んだ。