『…ハイハイ、そこ迄にしとけって。』
2人の間に割って入ったのは、苦笑いを浮かべた原田さんだった。
『ほら、2人共困ってんだろ?』
原田さんの言葉に、睨み合っていた2人が我に返る。
『…っと、悪い。』
『御免、今はそんな事してる場合じゃなかったね。』
呆然としている私と雛へ、3人分の視線が向けられる。
『いえ…とても仲が良いんですね。』
呆気に取られていた雛が、苦笑交じりにそう告げる。
『まあ…長い付き合いだしな。』
永倉さんが其の場の気まずさを掻き消す様に、照れ笑いを浮かべた。
『それより、予定が無いならどうよ…稽古、観に来ねェ?』
永倉さんの体付きに似合わない控えめな誘いに、私は思わず笑いが込み上げた。
『あははっ…っ是非お願いします!』
私の返事を待ってましたと謂わんばかりに、3人は其々ガッツポーズをした。