『あくまで、噂です。…沖田さんに出逢って、新撰組の皆さんにもこんなに良くして頂いて…私は、新撰組を悪党や鬼になんて思えません。』

藍さんの言葉に、私と雛も頷いた。

『…そうだね。きっといつか、新撰組の良いところが日本中の人に分って貰えるよ。もしかしたら…誰よりも、辛い思いをしているのは彼等かもしれない。…新撰組は、立派な人間だよ。』

雛がいつも通りの笑顔で、藍さんに笑いかける。
大した歴史の知識もない私達が今言えるのは、正直それ位しかなかった。

『そうですよね…。私も、そう信じています。』


雛の言葉に納得した様子で、お皿を拭き始める藍さん。



…人斬り集団の悪党、新撰組。


この時代の人々は、どんな思いで彼等を見つめていたのだろう。





全てを片付け終える頃には太陽が輝きを増し、暖かい光が洗い場へと差し込んでいた。