沖田さんに連れられ、私は屯所の奥の部屋へと足を進めた。




…ああ、此処はハッキリ覚えている。


私や雛が、襖の中から現れた部屋。


…想像しただけで、完全に面白い。



『失礼しまーす。』



沖田さんが先に室内へと足を踏み入れる。



『おお!早かったな総司。』


室内に居たのは土方さんや雛、藍さん以外に総勢三名。


近藤さん、原田さん、そして−−斉藤さん。



『…で、どうだった?』

いやにニヤついている原田さん。

『どうだった、って?』

そんな原田さんに、冷たい視線を向ける沖田さん。

『いや、だからさっ…高杉さんと…』

ハッキリは言わないものの、無性に落ち着きの無い様子に流石の私も察しが付いた。



『左之…落ち着け。』


土方さんの制止も聞かず、原田さんは好奇の目を沖田さんに向ける。





『ああ…凄かったよ、色々と…ね?』




ふと沖田さんが怪しげな表情を浮かべた。



『ホントかぁぁぁぁ!!!』


一際大きな声で叫ぶ原田さん。



『嘘だよ…馬鹿左之。』


沖田さんの冷たい一言に、原田さんはうなだれる。


『お前等…ふざけてねェで始めるぞ。』



呆れた様子の土方さんが、二人の間に入った。…こうして見ると、まるで世話の焼ける弟二人を持ったしっかり者の長男の様だ。



『へーい。』


大人しく畳みの上に座る沖田さんにつられ、私も其の場に腰を下ろした。


『…やるねぇー。』


隣に座っている雛が、ニヤつきながら肘で小突く。


『し、心配だっただけで…』


『ハイハイ。』


私の言葉は簡単に流されてしまった。



『…さ、藍さん。早速だが、兄貴を捜す手掛かりになりそうな事があれば教えてくれねぇか。』


近藤さんの問い掛けに、藍さんが頷く。