ピピピ―


「ん―――――・・・・」

朝になった。

昨日のことが全部夢であってほしかった。

でも・・・


「現実か・・・」

カーテンを開けるとすぐに目に飛び込んでくる
あの、カスタード色の家。


わたしは目をこすりながら自分の部屋を出た。



「あら、おはよー?今日は珍しく早いじゃない?」

お母さんが具合悪いの?と言ってわたしのおでこを触る。

「ちがうよ―。だいじょーぶ。なんか、あんま寝付けなかっただけ。」


「そぉ?ならいーけど。
あ!そーだ!ねえねえ凛玖。真向かいの家・・・
高鈴さんだっけ?あんたと同い年の男の子いるらしいじゃない!」


「え!なんで知ってるの!?」

わたしはびっくりして持っていたグラスを落としそうになった。


「あいさつにきたのよ―。引越しのね。美人な奥さんだったわぁ!
あれは息子もそーとうなイケメンなんじゃない?」


お母さんはねえねえどーなのよー?とわたしに問いかけてきた。



「あーうん。ひかりはだいぶ気に入ってたよ。」

「あら!あのかわいいひかりちゃんが気に入るんだからよっぽどの
イケメンなのね~」


「そーねー・・・」


「あらぁ?その分じゃ凛玖はあまり気に入ってないみたいね?
なになにもうなんかあったの??」

お母さんはやけに楽しそう・・・



「そんなんじゃないよ―!じゃあね!行ってきまーす」

「もぉ行くの?いってらしゃーい」



ガチャ



あいつに会わないようにいつもよりだいぶ早く家をでた。


「よしッ!いない!」




その時だった。




「何がいないの?」


バッ


わたしは後ろを振り返った。


そこには絶対に会いたくない顔があった。



「あ・・・お、おはよぉ・・・」

出来るだけの笑顔で返した・・・でもひきつってるのが自分でもわかる。



「どーも」

あいつは横目で笑ってあたしを追い抜いた。



「むかつく。」




そうして、わたしはあいつの背中を見ながら
学校へと向かった。