少女の存在自体は、正直、興味は全く無い。


何故なら、既知の存在だから。


幸福は恐らく、その少女を知っている。


「くそったれが……何故逃げなかった!?」



それより、そんなことより、その現れる場所が問題だった。




座敷家跡―――



奥歯を噛み砕かんばかりに幸福は歯噛みする。


己を投げ売った行為に、意味が無かったのか。


気付いて、もらえなかったのだろうか。