幸福は不可解且つ不快に思った。

自分が何故、この街に戻って来たのかを、幸福自身が理解出来なかった。



こんな棄てられた世界に未練がある訳でもなし。

ましてや、自らの手で壊した世界となれば尚更だ。





あの噂のせいだろうか。




座敷家跡に、居座る者の噂。


和服の少女が、座敷家跡に現れる、というなんともつたない噂である。




その他愛もない噂に、座敷幸福は耳を疑った。