「………………うぜえ」


過去の影に一瞬だけでも許した己に、幸福はひたすら嫌悪感を抱いた。



この街のせいだろうか。この世界を壊して、もう三年が経つ。壊す、というのは、勿論比喩だ。

否、この街にあった存在を消した、その事実をもって破壊というならば、比喩でなく、破壊なのだろう。


この寂れた商店街の景色、哀愁は全く感じないが、忌まわしい記憶としては残っている。


グランド・ゼロの字を棄てた三年前まで、幸福はここに住んでいた。