「沖田さんはよう悩むみたいやなぁ。また物思いに耽ってるようやな」


「や…山崎さんっ! 勝手に入らないでくださいよ!」


「無防備に襖全部開けとく方が悪いんやないか」


「いっつもそう言うじゃないですか~!」



また山崎さんにこうしているところを見られてしまった。

自分が自分で恥ずかしくなってしまう。



「…山崎さんは娶る気なんて、更々ないですよね」


「いきなりなんや。娶る娶らないの話で悩んでんのか?」


「まぁ…そんなところですよ」


「そんなんで悩む男やったんか、沖田さんて」



言われてみればそうだ。

おなごになんて興味がないのに、うじうじと悩んでどうする!


それに私の悩みなんて、この日本よりも小さなものでしかない。

だからもう、悩むのはやめた!


勢いよく半身を起こし、腕を伸ばす。



「どないした? 沖田さん」


「頭痛くなってきたので、考えるのやめました!」


「せやろうな」



悩んでいた自分が、今では笑えてくる。

私が悩むなんて、元から似つかわしくなかったんだ。


近藤さんと土方さんに言いに行こう。


本当は口にしたくないことでも、今なら言える気がするから――…


すぐに立ち上がって、山崎さんの前を通って廊下を進んだ。