「そんなもん、すぐに消えるって」


廉はしれっと言って、あたしを抱き寄せた。


「でも……」


「もっと付けてやろうか?」


「もうっ……!」


唇を尖らせた後で小さく笑って、意地悪な笑みを見せる廉に抱き着いた。


昨日の事は、夢じゃない。


あたしは、廉に抱かれたんだ。


夜中に目を覚ました時は不安だったけど、今はもうそんな気持ちなんて無かった。


「ふふっ」


「何?思い出し笑い?」


くすぐったい気持ちになって笑みを零すと、廉が不思議そうに訊いた。


「違うよ?」


あたしは、廉の腕の中から彼を見上げた。


廉はあたしをギュッと抱き締めると、頭まで布団を被った。


「廉っ……!苦しいってば!」


そう言いながらも、彼の腕の中で心地好さを感じていた。