「お前が付けたんだろ?」


廉の胸元を見つめていると、彼が意味深な笑みを浮かべながら言った。


「嘘……」


あたしはまた恥ずかしくなって、さっきよりも顔が赤くなった。


「俺も付けといた♪」


「えっ!?どこにっ!?」


驚きながら訊くと、廉はあたしの首筋を触った。


「ここ」


「嘘っ……!?鏡っ!!」


あたしが慌てていると、廉はベッドの前に置いてある全身鏡に視線を遣った。


ベッドの中から鏡を見ると、首筋には確かに赤い痕跡がある。


「ドレス……どうしよう……」


その途端、仕事の事が頭を過ぎって小さく呟いた。


「今日は休みなんだろ?」


「うん……」


誕生日は飲み過ぎて翌日は仕事にならないから、毎年休みを取ってある。


だけど、きっとこの痕はすぐには消えない。