「……知りたい？」


「え……？」


「お前がここにいる理由、知りたいか？」


そう訊いた廉を見ながら、小さく頷いた。


「お前、本当に何にも覚えてねぇの？」


彼は呆れたようにあたしを見て、眉を寄せながらため息をついた。


まだ上手く働かない頭で必死に思い出そうとしていたけど、ドンペリのピンクを飲んだ後からの記憶が無い。


縋るような気持ちで廉を見つめると、彼はあたしの気持ちを察したのか、小さなため息をついてから口を開いた。


「『俺の女になって』って言ったら、お前が頷いたから連れて帰って来たんだよ。別に無理矢理じゃねぇよ？あの店のＮｏ,１だって言ってた女も、傍でちゃんと聞いてたし」


廉に言われて、あたしは確かに頷いた事を思い出した。


だけど…


同時に戸惑いを隠せなくなって、また黙り込んでしまった。