「……ん……っ……」


頬に冷たい感覚が走って、あたしは気が付いた。


重い瞼を必死に開いて、ボーッとしている頭を働かせる。


そっか……


あたし、誕生日で……


まだちゃんと機能していない頭で、やっとそれだけを思い出した。


「目、覚めたか?」


その直後に降って来た声に、ドキッとした。


酔ってる耳でもハッキリとわかる、廉の声。


「おい、大丈夫か?」


「何……で……?」


やっとそれだけ言って、何とか怠い体を起こした。


「お前、飲み過ぎて潰れたんだよ」


廉に言われて、あたしは彼が入れたドンペリのピンクを飲んだ後、潰れた事を思い出した。


仕事は辛うじて終わっていたけど、お客である廉の前でダウンするなんて…。


あたしだって、プロ意識は持っているつもりだったのに…。