廉が何を考えているのか、ちっともわからない。


だけど、それを訊いてもいいのかどうかもわからない。


さっきのお客は呆然としていて、黒服やヘルプの子に話し掛けられても上の空みたいだった。


あたしは廉の隣で、シャンパンタワーに注がれたドンペリのピンクをぼんやりと見つめていた。


訊きたいけど、訊けない。


完全に酔っているせいで、もう話す事もままならなかった。


毎年すごく酔ってしまうけど、今年は今までで一番酷い。


やっとの思いでグラスを持ち上げて乾杯した頃には、全身が燃えるように熱くなるのを感じていた。


「ユイ……。俺の女になって……」


廉はそれを見透かすように、あたしの耳元で甘く優しく囁いた。


酔っていたあたしは、彼への想いが募っていた事も相まって、ボーッとしながら頷いた。


それからの事は覚えていない――。