ドンペリのピンクを開けて、あたしや他の従業員はほとんどお客のいなくなった店内で乾杯をした。


「ユイ、おめでとう!」


「ありがとうございます」


お酒を入れたお客にお礼を言いながら、廉の方を一瞥(イチベツ)した。


店内は暗いから彼の表情はよくわからないけど、黒服と何か話している。


やっぱりヘルプかな……?


頭の片隅でそんな事を考えながら、グラスに残ったお酒を一気に飲み干した。


頭がクラクラする。


そろそろ限界かもしれない。


入店した頃よりもアルコールには強くなったけど、それでも店ではまだまだ弱い方だ。


綾なんて、酔っている姿は見た事が無いくらい強い。


お客と話していても今は口を開くのも怠くて、笑顔を作るだけで精一杯だった。


あたしの様子を察したのか、綾がフォローしてくれている。