「……欲しい物ねぇの?」


「えっと……」


あたしが返答に困っていると、廉が苦笑を零した。


「普通、キャバ嬢とかって、こういう時は容赦なくねだって来るんだけどな……」


「あたしね、そんなに物欲がないんだ……」


「はっ!?」


怪訝な顔をした廉に、小さな笑みを向ける。


「だって、フランス料理よりもファミレスの方が好きだし、映画はレディースデーに観に行くし……。スーパーは、特売狙っちゃうし!」


呆然としている廉に気付いたあたしは、急に恥ずかしくなった。


「あっ……!これじゃあ、ただのケチだよね……」


「ぶっ……!」


自分の発した言葉を後悔していると、廉が突然吹き出した。


「お前……ありえねぇ!」


「え……?何が?」


笑いを堪えている廉を見ながら、小首を傾げた。