「えっ?お前、明日が誕生日なのか?」


当日に来れないお客からプレゼントを貰っている所を見ていたらしくて、その事を訊いて来た廉に事情を説明すると、彼は目を見開いた。


「うん、そうだよ」


「もっと早く言えよ」


「どうして?」


「何かプレゼントしたのに……」


廉はお酒を飲みながら、不服そうに眉を寄せて呟いた。


「そんなのイイよ……。廉はいつも来てくれてるんだし……」


あたしのお客の中で、今は廉が一番の常連だ。


お酒も、高い物ばかり入れてくれる。


「だからってなぁ……」


廉はまだ不服そうな表情で、あたしを見た。


「でも……あたしは、自分から誕生日の話をした事はないの。訊かれたら答えるんだけど……」


「じゃあ、何か欲しい物はあるか?」


そう訊かれて、返答に困った。