「キスされるとでも思った?」


廉はあたしを見ながら、意地悪そうに笑っている。


「べっ、別にっ……!」


慌てて否定して、パフェに視線を落とした。


「ここからじゃ出来ねぇよ」


そう言った廉が、不意に立ち上がってあたしの隣に座った。


「なっ……!何……?」


驚きと動揺を必死に隠して、壁側に体を引きながら廉から逃れようとしたけど…


彼はあたしの頬に触れた後、あたしの顔をゆっくりと自分の方に向けさせた。


そして少しずつ手をずらして、親指と人差し指であたしの顎を強く掴んだ。


高鳴る心臓が煩い。


廉に捕まってしまったら、きっともう逃げられない。


彼はあたしの瞳を真っ直ぐ見つめながら、ゆっくりと顔を近付けて来た。


あたしは咄嗟に下を向いて、そのままギュッと目を閉じた。