「キスしたら許す」


「えっ……?」


目を見開いて戸惑っていると、廉は真剣な表情のまま再び口を開いた。


「今ここでキスしたら許してやるよ」


「えっ……?だ、だって……」


戸惑うあたしの姿を楽しむように、廉があたしの頬にそっと触れた。


その瞬間、体がビクッと強張って、金縛りのように動けなくなった。


廉の瞳が、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめている。


このまま、彼の瞳に吸い込まれてしまいそうだった。


危険だとわかっているのに、廉から目を逸らす事が出来ない。


それどころか、あたしも彼を見つめ返していた。


廉には抗えない……


この間感じた危険を今も感じているのに、あたしは廉から離れようとはしなかった。


「嘘だよ……」


彼は小さな笑みを浮かべると、またカメラを触り始めた。