あたしが黙っていると、綾は更に話を続けた。


「人間ってさ……幸せを感じる為に、ツライ事も経験するんだと思うよ！」


「幸せを感じる為に……？」


「うん！絶対にそう！」


あたしが訊き返すと、綾が強く肯定した。


「そう……なのかも……」


何となく納得出来たあたしは、彼女の言葉を噛み締めるように呟いた。


「だからさ、澪は廉さんと幸せになっても大丈夫だよ♪」


「うんっ♪」


少しだけ気持ちが晴れたお陰で、綾の言葉に迷わずに頷く事が出来た。


「でもさぁ、それってマリッジブルーなんじゃないの？もうっ、羨ましいぞっ♪」


冗談っぽく言った彼女の口調が可笑しくて、あたしは思わず声を上げて笑っていた。