その夜、廉が眠った後で綾に電話を掛けた。


「結婚式の準備は順調?」


「うん、とりあえず間に合いそうだよ……」


あたしは安堵のため息を吐いて、アイスティーを一口飲んだ。


「そっか!良かったね♪」


「うん♪綾も披露宴には出席してね!」


「当たり前でしょ!何なら、一曲歌ってもイイくらいだよ♪」


冗談めかした口調の後で声を上げて笑った綾に釣られて、あたしも思わず笑ってしまった。


「ねぇ、何歌ってくれるの?」


彼女は少しだけ考えるように沈黙した後、クスッと笑った。


「“てんとう虫のサンバ”、とか?」


「古いよっ!!」


「え〜っ!?そうかなぁ?」


あたし達は、また声を上げて笑った。