「ドレスくらい、一緒に決めて欲しかったのに……」


仕事から帰宅した廉に不満を零すと、彼が小さく笑った。


「付き添えなくて悪かったな……。でも、澪のドレス姿は本番の楽しみにしとくよ」


そう言われると、悪い気はしないかも……


「うん♪」


単純なあたしは、笑顔で頷いた。


「ドレス姿見たら、もう一回惚れてね?」


ちょっとした冗談のつもりで、軽く言っただけだったのに…


「もう、充分惚れてる」


廉はあたしの耳元で低く囁いて、唇にチュッとキスをした。


彼が意地悪な笑みを浮かべながら、あたしを見ている。


悔しいけど、やっぱり廉には敵わない。


頬が熱くなっていくのを感じながら、彼への気持ちを再確認していた。