「廉、照れてる……?」


恐る恐る訊くと、廉はチラッとあたしを見た。


「悪いかよ……」


「ぷっ……!」


いつもはクールで大人っぽい廉の照れている姿を見るのは初めてで、思わず吹き出してしまった。


「笑ってんじゃねぇよ……」


彼は、肩を震わせているあたしの額をコツンと小突くと、グラタンを食べ始めた。


「ごめん……」


あたしは笑いながら、拗ねたような顔をしている廉を見た。


さっきまでずっと緊張していたけど、今のやり取りでそれが解けたみたい。


廉の意外な一面が見れて嬉しかったし、少しだけ彼に近付けた気がした。


それに今日の彼は、いつもよりもたくさん話してくれる。


最初は不安だったけど、何だか嬉しい事ばかりだ。


あたしはグラタンを食べながら、ずっと笑顔で過ごしていた。