それから数週間後の夜。


「明日、澪の実家に行くから」


廉からの突然過ぎる提案に、すごく驚いて一瞬言葉を失った。


「……明日っ!?」


「あぁ」


廉は頷くと、タバコに火を点けた。


「何か……急だね……」


気が重いあたしは、小さくため息をついた。


「俺は前から決めてたよ。それにちゃんとしたいしな……」


廉は、真剣な眼差しであたしを見つめた。


「でも……」


あたしの言葉を遮るように、彼が唇を塞いだ。


タバコ味の苦いキス。


まるで、今のあたしの気持ちみたい。


「俺は……澪を早く俺だけのものにしたい」


廉はあたしの耳元に唇を寄せ、ゆっくりと囁いた。