「あたしには廉だけだよ?」


あたしはクスッと笑って言った後、廉を見つめた。


「澪……」


「なぁに?」


あたしが尋ねたのと同時に信号が青に変わって、廉が不敵な笑みを浮かべながらアクセルを踏み込んだ。


「今夜は、いつもより可愛がってやるよ♪」


「廉のえっち……」


恥ずかしさで俯いたあたしは、小さな声で言って唇を尖らせた。


「サンキュ♪」


「褒めてないってば!もうっ!!」


笑顔を見せた廉に必死に反論していたけど、内心では喜んでいた。


だって…


廉がヤキモチを妬いてくれた事も、機嫌が良くなった事も、すごく嬉しかったから…。