廉はあたしの顔を見ながら、深いため息をついた。


「澪、戻るぞ」


「うん……」


「お前もさっさと来い!皆、待ってるんだぞ!」


頷いたあたしの手を掴んだ廉が、足早に歩き出した。


「澪♪」


「えっ?」


名前を呼ばれたあたしは、戸惑いながら振り返った。


「俺、一輝(カズキ)。一番輝くって書いて、一輝だから!」


一輝はそう言うと、サングラスを外して微笑んだ。


「澪、行くぞ!」


「ちょっ……!廉!?」


あたしと一緒に立ち止まっていた廉は、不機嫌な表情のままであたしを引っ張るようにまた歩き出した。


あたしの後ろを歩いている一輝は、部屋に入るまでずっと意味深な笑みを浮かべていた。