プライドの高い廉は、仕事に対しては一切妥協をしないし、どんな仕事でも最後まで完璧に熟す。


だから、時間にルーズな人がいるとすごく嫌がるんだ…。


廉が今まで風景専門として活動していたのは、こういう事も理由の一つなのかもしれない。


それでも、いつもみたいにちゃんと仕事を熟して欲しい。


「廉!もうちょっとだけ待ってみよ!ねっ?」


あたしは彼の前に立って、宥めるように言った。


「無理」


こういう時の廉には、何を言っても無駄だってわかっている。


だけど、一度引き受けた仕事だから…。


口を開こうとした時、廉があたしの頭をポンと叩いて、先に口を開いた。


「お前の言いたい事はわかってるよ……」


廉は小さなため息をついた後、片付けている手を止めて再び椅子に座った。