それから程なくして、予定していた撮影開始時間になった。


それなのに…


開始時間が過ぎても、今日のモデルが現れなかった。


準備は出来ているのに、モデルがいないから撮影が出来ない。


「モデルはまだですか?」


明らかに不機嫌な廉が、スタッフの一人に尋ねた。


「すみません!マネージャーも、本人と連絡が取れないみたいで……」


「はぁっ!?」


頭を下げたスタッフの言葉に、廉の苛立ちは益々募ったみたい。


「俺は待つのは嫌だって、散々言いましたよね?バカにするのもいい加減にして下さい!」


彼はそう言い放つと、カメラを片付け始めた。


そして…


「澪、帰るぞ!」


苛立ちを見せたまま、あたしにも帰り支度をするように促した。