車の中で、あたし達は始終無言だった。


廉の心境はわからない。


だけど…


あたしは、あんな両親を廉に会わせてしまった事を心の底から後悔して、恥ずかしく思っていた。


いつだって人の話を聞かず、自分の意見を正当化する父。


子供の気持ちよりも、世間体ばかりを気にする母。


そんな両親に挟まれていたら、息苦しくなってしまうのも仕方が無いのかもしれない。


あたしがいなくなってから、嵐はどういう気持ちであの家にいたんだろう…。


ずっと自分の事だけで精一杯だったあたしは、あんなにも自分(アタシ)を守ってくれていた弟を気遣う余裕なんて無かった。


もっとも…


あの両親の事だから、嵐への態度は変わらなかったのかもしれないけど…。