「どういう事なんだ……?そちらの方は……?」


あたしと廉を見ながら訊いた父の表情は、何とも言えない微妙な物だったけど…


廉がいる手前、怒りを抑えているんだって事だけはわかった。


嵐が笑顔で両親を見ながら、口を開いた。


「この人は、澪の婚約者の織田廉さん。とりあえず、座って話そうよ!」


嵐はあたしの手を引きながら、廉に手招きをした。


ソファーに並んで座ったあたし達を横目に、母は落ち着き無くお茶の用意をしていた。


正面に座った父は、口を固く結んだままだった。


不安どころか、どんどん緊張感に包まれていって、例えようの無い感情があたしを襲う。


あたしが泣き出しそうになっていると、お茶の用意を終えた母が父の隣に座った。