廉は楽しそうに笑ってから、瞼を閉じた。


「寝るの……?」


彼の顔を見つめながら、小首を傾げる。


「ん……。澪のせいで、寝不足だからな……。まだ早いし、お前ももうちょっと寝てろ……」


眠そうな声で言った廉は、あたしをギュッと抱き締めた。


あたしのせいじゃなくて、廉のせいだよ……


そんな事は言える訳が無くて、廉の腕の中で大人しく瞼を閉じた。


廉の腕の中はすごく暖かくて、彼の心臓の音があたしを安心させてくれる。


触れ合う肌が心地好い。


廉の香りが、あたしを夢の中へと誘(イザナ)う。


「おやすみ、澪」


彼の優しい声を聞いたあたしは、憂鬱な気持ちが薄れていくのを感じながらまた眠りに就いた。