車の中では、廉とほとんど会話をしなかった。


廉は、元々口数が少ないけど…


今の彼が何も言わないのは、あたしの気持ちを察してくれているからだと思う。


あたしはそっと花束を抱き締めながら、窓の外の滲む景色を見つめていた。


流れるネオンが、少しだけ眩しい。


お疲れ様、ユイ……


それから……


本当にありがとう……


あたしは今まで一緒に頑張って来たもう一人の自分(アタシ)に、心の中でそう呟いた。


今日からはまた、一人の普通の女の子。


“澪”として、廉の傍にいる。


これからの事を考えると少しだけ不安もあるけど、あたしはずっと彼の傍にいる。


そして…


絶対に、廉と一緒に幸せになるんだ…。