「お疲れ!」


「え……?」


聞き慣れた声に驚いたあたしは、自分の目を疑った。


「廉……」


目の前には、ガラにも無く花束を持ちながら立っている廉がいたから…。


「ユイ、よく頑張ったな!これからはまた俺だけの澪だ……」


彼は小さな笑みを浮かべ、花束を持っているあたしの腕に自分の用意した花束を乗せた。


「ありがとう、廉……」


嬉しさと寂しさを感じながら、何とか小さく呟いた。


「澪、あたし帰るね!」


「あっ、ごめん……」


気を遣ってくれた綾の元に、慌てて駆け寄る。


「綾ちゃん、よかったら送るけど……」


「いえ、大丈夫です」


綾は廉の申し出を断り、満面の笑みで立ち去った。