開店してからは、予想通りの忙しさだった。


「乾杯♪」


あたしはとにかく次から次へとテーブルを廻って、お客達に最後の挨拶をしていった。


「ちょっとごめんなさい……」


挨拶を済ませて乾杯をすると、またすぐに次のテーブルに移動する。


一つのテーブルで過ごせる時間は、大体10分程度。


今日はあちこちのテーブルで、ドンペリやリシャールやピンドンが出回り、何本ものお酒を空けた。


ナンバークラスの皆も、今日ばかりはあたしのフォローをしてくれた。


あたしはずっと、お客と従業員への感謝の気持ちと、申し訳ない思いでいっぱいだった。


そして…


長い夜が、もうすぐ終わろうとしていた。