「いつもより、遅くなっちゃったね……」


しばらくして落ち着いたあたしは、出勤する廉を玄関に送り出した。


「ん?余裕」


「……本当に?」


不安になって眉を下げると、廉はあたしの頭を優しく撫でた。


「あぁ、大丈夫だ!それよりさっきの事、約束だからな?」


「うん。今日は休みだけど、夕方店に行ってちゃんと話して来るから!」


「絶対だからな?」


「うんっ!!」


あたしが頷きながら笑みを向けると、廉も笑顔を返してくれた。


「じゃあ、行って来る」


そう言った彼に、いつものようにチュッとリップ音を立ててキスをする。


「いってらっしゃい♪」


廉は小さく頷いてから意味深な笑みを見せると、あたしの耳元に唇を寄せた。