「もう一度訊く」


あたしは指輪に落としていた視線を上げ、廉に向けた。


彼は一呼吸置いてから、ゆっくりと口を開いた。


「お前は、俺と結婚する気があるのか?」


真っ直ぐで綺麗な瞳が、あたしの答えを待っている。


「あるっ……!あるよっ……!」


何度も大きく頷きながら声を絞り出した直後、まだ自分の事を話し終えていないにも拘わらず、堪え切れずに泣き出してしまった。


「じゃあ、いい加減に仕事辞めろよ……」


「辞めるっ……!すぐに辞めるから!今だって…その事を話すつもりだったの……。本当にごめんなさいっ……!」


必死に言うと、廉はあたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


「……約束だからな?」


「うんっ……!」


あたしは何度も何度も頷いて、廉の腕にしがみつきながら泣いていた。