廉はタバコの火を消すと、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


それから眉を寄せ、不機嫌そうに口を開いた。


「お前さ……本気で俺と結婚する気あるのかよ?」


結婚……?


「えっ……?今……何て……?」


聞き間違いかと思って、瞬きをしながら訊き返した。


すると、廉はため息をついてからあたしの左手を取って、ゆっくりと持ち上げた。


「……これは何だよ?」


彼が尋ねているのは、あたしの目の前にある左手の薬指に着けられている物の事…。


「指輪……?」


「あのな……」


あたしが疑問形で答えると、廉は心底呆れたように口を開いた。


「エンゲージリング、だろ?」


彼の言葉が心の中に落ちていき、ゆっくりと染み渡っていく。


それを感じたあたしは、心が廉の愛で包まれた気がした。