いつもと同じように、廉は朝食を黙々と食べ始めた。


別に怒っているような雰囲気じゃないけど、少しだけ不機嫌な様子が窺える。


沈黙したまま朝食を済ませた後、あたしは廉が支度を終えるのを見計らって口を開いた。


「廉……。話があるの……」


部屋の中に自分の声が落ちていくのを聞きながら、ゆっくりと深呼吸をする。


「もし……今が無理なら帰って来てからでもイイから、聞いてくれる?」


「……何だよ?」


廉はぶっきらぼうに訊いて、ソファーに身を沈めた。


あたしもソファーに移動して、彼の隣に座った。


「あのね……」


改めて話そうとすると、あたしの中に不安と緊張が走る。


綾の言葉と、さっき彼女と一緒に泣いた事を思い出して、自分に『大丈夫』と言い聞かせる。


それから、本題を切り出した。