結局、あたしと綾はずっと泣いていた。


やっと涙を拭って彼女と別れ、駅前に並んでいたタクシーに乗った頃には空が白み始めていた。


家に着いたのは朝方で、朝陽を浴びながらマンションに入った。


廉を起こさないように、玄関のドアをそっと開ける。


そのままバスルームに直行して、お風呂に入った。


鏡に映るあたしの目は、酷く腫れている。


「後で冷やさなきゃ……」


あたしはポツリと呟いて湯舟に浸かり、お湯を手で掬った。


廉が起きて来たら、あたしの気持ちを話そう……


廉の機嫌が悪くなっても、もし喧嘩をしてしまったとしても…


ちゃんと向き合わなきゃいけない。


だって…


綾が叱ってくれた気持ちを、無下にはしたくないから…。


乳白色のお湯を見つめながら、廉と向き合う事を強く決意した。