居酒屋を後にしたあたし達は、駅前までゆっくりと歩いた。


大通りには、タクシーが何台も停まっている。


「じゃあ、ここで……」


「うん、ご馳走様……」


永遠の別れじゃないのに、急に寂しさに襲われた。


「綾……」


「ん?」


振り向いた綾の笑顔が、寂しそうに見える。


あたしが寂しいと思ってるからなのかな……?


あたしは、綾の瞳を真っ直ぐ見つめて口を開いた。


「ありがとぉ……」


そう言ったあたしの瞳には、今にも零れ落ちてしまいそうなくらいに涙が溢れていた。


「いつも、あたしがダメな時に叱ってくれて……背中を押してくれて……本当にっ……!」


涙のせいで、何度も言葉に詰まってしまったけど…


「ありがとぉっ……!」


綾への感謝の気持ちを、精一杯伝えた。