お客が追い出された後、店内は静まり返っていた。


「お、おいっ……!アヤ……」


相変わらず真っ青な顔で駆け寄って来た店長に、綾は毅然とした態度で接した。


「あの客の料金は、あたしの給料から引いといて!」


彼女がそう言った瞬間、一斉に拍手と歓声が湧き上がった。


「アヤ、イイぞー!」


「アヤに乾杯!」


「アヤさん、カッコイイー!」


あちこちからそんな言葉が飛び交い、綾は煌びやかな笑みを浮かべてから一礼をした。


「お騒がせして大変申し訳ありませんでした。皆様、この後も楽しんで下さいね!」


満面の笑みで言った綾が、あたしにはすごくカッコ良く見えて…


あたしもあんな風になりたい!


彼女を見ながら、そう強く思ったんだ。


その日から、あたしの目標はもちろん綾だった――。