嫌……


座りたくない……


そう思いながら唇を噛み締めていると、綾が笑顔であたしを見た。


「ユイ、座らなくてイイよ!」


「えっ!?」
「はぁっ!?」


驚いたあたしと眉を寄せたお客の声が、ピッタリと重なった。


「ホステス風情が何様のつもりだっ!?」


怒ったお客が綾に怒鳴ると、彼女はお酒を一気に飲み干した。


「アンタこそ何様よっ!?ホステス相手なら、何してもイイと思ってんのっ!?」


唖然とするあたし。


圧倒されているお客。


顔を真っ青にして慌て出す店長。


周りにいたお客や従業員も、綾に視線を集めた。


「ここはセクキャバじゃないっ!!セクハラしたいだけなら、さっさと帰ってっ!!」


綾は大声で言い放つと、呆然としていたお客の腕を掴んで黒服を呼んだ。