「……今日はピンクなんだな」


「あぁ、ドレスの事?どう?」


あたしはドレスを触りながら、笑顔で訊いた。


「似合うよ。ここが店じゃなかったらキスしてる」


廉は真っ直ぐな視線を向けながら、あたしの頬に触れた。


ドキドキして、顔が熱くなる。


「可愛いな……」


廉は一瞬だけ笑顔を見せ、何事も無かったかのようにお酒を飲み干した。


こんな事は、頻繁にある。


廉は、あたしの事をよくからかうんだ。


普通なら、キャバ嬢のあたしが廉に思わせ振りな態度を取ったりする物なのに…


これだと、どっちがお客なのかわからない。


「ねぇ……。こんなに頻繁に店に来てて大丈夫なの?」


「何?俺の心配?」


感じた居た堪れなさを隠すように話題を変えると、廉がクスッと笑ってあたしを見た。