念入りにメイクをしていると、玄関のドアが開く音がした。


廉……?


玄関に行くと、廉が靴を脱いでいた。


「おかえり♪早かったね!」


あたしは廉に笑顔を向け、いつものようにキスをした。


「ただいま」


疲れ気味の表情をしていた廉は、リビングに入った途端にソファーにドサッと倒れ込んだ。


彼は、基本的にあたしが出勤した後にしか帰って来ないけど、たまに今日みたいに早い時がある。


そんな時は、少しだけ気まずい。


理由は、あたしが今でもキャバの仕事をしている事を、廉がすごく嫌がっているから…。


その気持ちは、わからない訳じゃない。


だけど…


あたしはこの仕事が好きだし、出来れば辞めたくない。


それに仕事を辞めてしまえば、この広い部屋で一日中一人で過ごす事になる。


さすがに、それは寂しいから…。