廉が出勤して一人になると、途端に寂しさに襲われる。


広いマンションに、静かな部屋。


廉と同棲してから、もう随分経つけど…


やっぱり、彼がいないとすごく寂しい。


思わず零れたため息には気付かない振りをして、タバコの吸い殻を処分してからベッドルームに行った。


あたしはいつも、廉が出勤した後にもう一度眠る。


毎日のように日付が変わってから眠るから、二度寝しないと体が持たないんだ…。


一人で眠るには広過ぎるベッドに入って、瞼を閉じた。


夜眠る時には廉の体温で暖められているベッドも、今はひんやりと冷たくて虚しい。


それでも、シーツに残っているほんの微かな彼の香りが、あたしを少しだけ安心させてくれる。


あたしは廉の事を思い出し、彼に抱き締められているような錯覚を抱きながら、深い眠りに就いた。